【お知らせ】AMR対策に関する独立パネル設立に向けた意見提出(2025年7月25日)
薬剤耐性(AMR: Antimicrobial Resistance)への行動を支える科学的根拠の強化を目的に、「薬剤耐性対策のためのエビデンスに関する独立パネル(IPEA: Independent Panel for Evidence for Action against AMR)」設立に向けたオンラインコンサルテーションが実施され、日本医療政策機構(HGPI)及びAMRアライアンス・ジャパンからも意見を提出いたしました。コンサルテーションは、世界保健機関(WHO: World Health Organization)、国連食糧農業機関(FAO: Food and Agriculture Organization)、世界動物保健機関(WOAH: World Organisation for Animal Health)、国連環境計画(UNEP: United Nations Environment Programme)の4機関が主導し、科学的信頼性・独立性・政策的関連性を備えた設立文書を策定するため、関係者から広く意見を募るものでした。なお、既に意見の募集は終了しております。
IPEA設立の提案は、2019年にAMRに関する機関間調整グループ(IACG: Interagency Coordination Group on AMR)が国連事務総長へ提出した報告書で推奨されました。その後、2024年9月の第79回国連総会において採択された「AMRに関するハイレベル会合の政治宣言」においても、四つの国際機関に対し、2025年にIPEAを設立し、多部門にわたる科学的証拠の創出と活用を通じて各国のAMR対策を支援することが求められています。政治宣言では、パネルの構成や任務、範囲、成果物について、加盟国や利害関係者とのオープンで透明な協議を行い、既存のリソースを活用して重複を避けることも強調されました。
AMR対策には信頼性の高い証拠に基づく政策立案が不可欠ですが、現状では部門間でデータが断片化しており、政策担当者が有効な解決策を評価・優先化して実行することが困難としている背景があります。重要な証拠の不足はAMR対策の進展を妨げ、持続可能な資金調達や介入の根拠を弱めています。独立パネルの設立により、客観的で権威ある科学的知見を提供し、国際的な合意形成と行動促進を支えることが期待されています。IPEAは、各国の意思決定を科学的に支援するとともに、多様な状況下で効果的なAMR対策の推進を目的としています。
当機構は、2023年にAMRマルチステークホルダー・パートナーシップ・プラットフォーム(AMR Multi-Stakeholder Partnership Platform)に加盟しました。このプラットフォームにおいて、2024年9月の第79回国連総会前に公表された、独立パネル設立を含む提言の作成プロセスに参画し、賛同するとともに、その内容が日本国内でも広く周知されるよう、日本語訳を公表しました。今後も、国際的なAMR対策の枠組みや効果的なIPEAの設立及び日本のAMR対策との連携に向けて、政策提言や国際連携を通じた活動を継続してまいります。
