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【開催報告】薬剤耐性:将来のグローバル健康危機(2022年1月13日)

2022年1月13日、AMRアライアンス・ジャパン(事務局:日本医療政策機構)は、国際連携を含む薬剤耐性(AMR: Antimicrobial Resistance)に関する国際動向について現状を共有するとともに、今後のAMR対策の強化の見通しについてラウンドテーブルディスカッションを開催し議論しました。

武見敬三氏(参議院議員/世界保健機関(WHO) ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ親善大使)に開会の辞をいただいた後、Liz Tayler氏(世界保健機関(WHO: World Health Organization)3機関共同事務局(WHOが国際連合食糧農業機関(FAO: Food and Agriculture Organization of the United Nations)および国際獣疫事務局(OIE: L’Office international des épizooties)とともに運営) テクニカル・オフィサー)、菅井基行氏(国立感染症研究所 薬剤耐性研究センター(WHOコラボレーティングセンター) センター長)、市川伸子氏(欧州復興開発銀行(EBRD: European Bank for Reconstruction and Development) シニア・環境・アドバイザー)にご講演いただきました。

エグゼクティブサマリー

  1. AMRは20世紀に大幅に進んだはずの現代医学を後戻りさせます
  2. 気候変動と同様に、AMRは社会経済全体に影響を及ぼす問題です
    この「サイレント・パンデミック」の脅威をいかにして人々に共有するかという課題に、世界は直面しています
  3. AMR対策は国際的潮流になっています
    AMR問題は、今後も国際的な政策アジェンダの最上位として位置づけられなければなりません
  4. 世界の感染症対策には、最も脆弱な国々での対策が不可欠です
    国際協力・開発援助のリーダーである日本は、アジアをはじめ世界の医療システム強化に向けて重要な役割を担っています

本ラウンドテーブルの背景や詳細については、下部PDFをご覧ください。
なお、本報告書の内容は本ディスカッションの議論に基づき、主催者であるAMRアライアンス・ジャパンが論点を抽出し、中立的に取りまとめたものであり、必ずしも登壇者の意見を代表するものではありません。

 

新型コロナウイルス感染症(COVID-19: Coronavirus Disease 2019)は、感染症がいかに対応が難しい問題であるかを世界に知らしめ、感染症という疾病の対策においても世界が様々な分野で関連していることも浮き彫りにしました。この疾病への対応に関する各国の決定は、新たな疾病の出現、各国の治療法確立やワクチンへのアクセス、世界の社会的経済的活動などに関連する広範な問題に大きな影響を与えています。感染症の危機は日本一国では対処できない、まさにグローバルの問題です。今回のパンデミックから立ち直り、次の危機に備えるためには、国際的に協力できる体制を継続させる必要があります。

世界的な感染症対策の強化に向けた取り組みが必要であることは間違いありません。なぜなら、次なる感染症危機として既に「薬剤耐性(AMR: Antimicrobial Resistance)」が存在しているからです。AMRとは、感染症の原因となる微生物が時間の経過とともに治療に対して耐性を持つようになる、自然発生的なプロセスです。この問題は、すでに世界中で毎年70万人の命を奪っています。日本では、年間の交通事故死者数の2倍以上にあたる、年間8,000人がAMRによる感染症により死亡していると推定されています。もし世界がこの問題に真剣に取り組まなければ、2050年には世界で毎年1,000万人もの人々がAMR感染症で命を落とすことになるとの予測もあり、そのうちの40%はアジアで発生すると考えられています。そうならないためにも、この地域の国々が一丸となって取り組む必要があります。

日本は常に国際協力のグローバルリーダーであり、特に保健分野では、人の安全保障やユニバーサル・ヘルス・カバレッジの実現などの課題解決に向けた取組みを強力に推進し、平和への積極的な貢献に努めてきました。経済協力開発機構の開発援助委員会が発表した統計によると、日本は保健分野へのドナー支援国として世界第4位であり、2018年には1,027億円を拠出しています。

感染症危機が社会や開発目標の達成に大きな影響を与えることがCOVID-19で明らかになった今は、開発援助が優先すべき課題を再考する時期と言えます。感染症対策は、健康な社会を実現するための基盤となるものです。どの国も単独では感染症問題に対処できません。今後、AMRに対する世界の防御力を高めるためには、各国の政策基盤の底上げが重要になります。日本を含む世界中の人々を守るためには、医療システムの強化と健康の安全保障のための国際協力の拡大が不可欠です。

本シンポジウムでは、このような問題意識のもと、感染症分野、グローバル保健ガバナンス分野、ファイナンス分野の専門家が一堂に会し、国際連携を含めたAMRに対するグローバル・アクションの現状を共有しました。登壇者の皆様からは、今後の対応策の強化に関する見通しや、日本のグローバル・ヘルス・アジェンダにおけるAMRの立ち位置に対する活発なディスカッションが行われました。

■開催概要


■プログラム

18:00-18:05  趣旨説明
 Matt McEnany(日本医療政策機構/AMRアライアンス・ジャパン シニアマネージャー)

18:05-18:10  開会の辞
 武見 敬三(参議院議員)

18:10-18:20  プレゼンテーション:グローバルな視点 – AMR対策のためにWHOが行っていること
 Liz Tayler (Technical Officer, Tripartite Joint Secretariat, WHO)

18:20-18:30  プレゼンテーション:日本が支援する継続的な国際協力の一例 – AMRサーベイランス
 菅井 基行(国立感染症研究所 薬剤耐性研究センター センター長)

18:30-18:40  プレゼンテーション:AMR耐性のある開発への投資 – AMRに対してEBRDのアプローチ
 市川 伸子 (Senior Environmental Advisor, The European Bank for Reconstruction and Development)

18:40-19:30  ラウンドテーブルディスカッション

 

<開催報告書>薬剤耐性:将来のグローバル健康危機
<開催報告書>薬剤耐性:将来のグローバル健康危機
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